夏の色


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そらいろ
 


こんにちは。
新学期が始まりました。
キャンパスが中野になって、満員電車に乗って学校へ行きます。
そのときにくるりの「東京」という曲がイヤホンから聞こえてくると、えも言われぬ気持ちになります。
東京の街に出てきたんだなァ…。


さて、新しいキャンパスの図書館で面白い本を見つけたので紹介します。
この図書館は写真集は山ほどあるけど、文庫本とかはさっぱりないのね。
詩集が読みたいのにな。さっぱりないの。
前の図書館も少なかったけど、少ないなりに面白いのがあったのに。
少ない少ないなかから、たくさん時間をかけて借りたい本を1冊探し出しました。

「記憶喪失になったぼくが見た世界」
坪倉優介さんという人が書いた本です。

坪倉さんは18歳の美大生。
ある日スクーターに乗っていて交通事故にあい、記憶喪失になってしまった。
それは、自分自身のことも、食べることや寝ることなどの感覚さえもわからなくなる状態でした。
そんな彼が徐々に周囲を理解し「新しい自分」を生き始め、草木染職人として独立するまでを綴った手記です。
…と裏に書いてあります。

わたしは知らなかったのだけど、テレビなんかで紹介されたこともあるようです。

時間や植物や人間といった概念もないし、文字もわからないし、食べ物が食べ物であることもわからないし、味の表現もできないし、心配そうに声をかけてくる人たちの顔が怖い。
映画や小説でみるような記憶喪失よりも、ずっと壮絶です。
すべてが新しくて、わからないことだらけ。

少しだけ、中身を紹介します。



【部屋の中には、ひかる物がなくて、まどの外も暗い。音もしないしずかなところに、ぼくだけひとり。そのとき、なにかを見つけた、すごく細い。
近くへいってみる。それはうすっぺらい物をぶらさげていて、さわるとつるつるしている。そしたら、ぷちっと、ひとつはずれてしまった。すぐにもどそうとしても、ぜんぜんなおらない。
だけどその細長い物は、ぼくを見ているだけだ。人は、なにもしなくても、わからないことをたくさん話しかけてくる。それを見ると、にげだしたいと思うことがおおい。だけどそいつは、そんなきもちにさせない。目のまえの物が、とても気に入った。そいつのまえに、いつまでもすわっていたい。】



【かあさんが、ぼくのまえになにかをおいた。けむりが、もやもやと出てくるのを見て、すぐに中をのぞく。すると光るつぶつぶがいっぱい入っている。きれい。でもこんなきれいな物を、どうすればいいのだろう。
じっと見ていると、かあさんが、こうして食べるのよとおしえてくれる。なにか、すごいことがおこるような気がしてきた。だから、かあさんと同じように、ぴかぴか光るつぶつぶを、口の中へ入れた。それが舌にあたるといたい。なんだ、いったい。こんな物をどうするんだ。
かあさんを見ると笑いながら、こうしてかみなさいと言って、口を動かす。だからぼくもまた、同じように口を動かした。動かせば動かすほど、口の中の小さなつぶつぶも動き出す。そしたら急に、口の中で「じわり」と感じるものがあった。それはすぐに、ひろがる。これはなに。
でもどう言ったらいいのか、わからない。ことばが出ない。だから口を動かしつづけた。そんなぼくを見て、かあさんは「おいしい?」ときいてくる。それもなんのことか、わからなかったので、だまって口を動かしつづけた。
するとかあさんは「もっとたべてみたいかな。もっと口に入ると思えば、おいしいと言って。こんな物口の中に入れたくないと思ったら、まずいと言ってほしい」と言う。
ぼくは口を止めて、「おいしい」と言った、するとかあさんは「そう、ごはんはおいしいんだ」と笑った。そうなのか、あのぴかぴか光る物のことを「ごはん」というんだ。それに口の中で、こういうふうになることを、「おいしい」というのか。】


「観葉植物」と「お米の味を知る」というお話しでした。
このふたつにすごく驚きました。

あと、気に入ったお話しをひとつのせておきます。
最初のふたつは本の最初のほうにのっていました。
次のは、最後のほう。
事故から一年以上たち、色んなことを徐々にわかりはじめた頃のことです。


【どうして青い色をしたごはんは、ないのだろう。あずきを使えば赤いごはんができるし、フライパンでドライカレーなんか作ったら、黄色いごはんにもなる。赤や黄色があるなら、青いごはんもあるのではないか。よく晴れて気持ちのいい日の、青い空色をしたごはんが食べてみたい。
かあさんに電話して聞いてみたけれど、青いごはんはないと言う。そうか…。あきらめようとしたら、鍋が入っている棚の奥に、かき氷にかけるシロップがあった。ビンのラベルには「ブルーハワイ」と書いてある。もしかしたら、これでいけるかもしれない。
お米を洗って、メモリの少し下のところまで水を入れた。次に少し足りない水の代わりにブルーハワイのシロップを入れてみる。水をうすい青に染まっていく。それで炊飯器のスイッチをオンにする。
おかずは何にしよう。青いごはんにカレーをかけるのも嫌だし、今日のこの気分はインスタントラーメンでもない。冷蔵庫をあけると、好物のさしみがあった。そうだ、さしみにしよう。
ご飯が炊けるまでテレビを見ていると、スイッチがオフになる「カチッ」という音がした。飛び起きて白いテーブルをひろげて、冷蔵庫からさしみを出して、小皿にうつす。お椀にはインスタントのみそ汁を入れて、はしとお茶の入ったコップをテーブルの上に置く。
次にしゃもじを取り出して、いよいよ青ごはんだ。
炊飯器の前に立ち、ゆっくりとふたを開いた。そしたら、入道雲みたいなゆげが「ぶわっ」と出てきた。その奥に青いご飯が見える。大きな入道雲の間から見える海のようだ。しゃもじですくってみると、地球にスコップを入れるような感じがしてどきどきした。】


「青い空色のごはん」というお話しです。


この本を読んで、思うことがたくさんありました。
(ちょっと長くなりそうなのでそれはまた今度書きますん)

最後の解説は俵万智さんが書いています。

俵さんは、記憶喪失になった坪倉さんが見る世界とそれを表現する彼の言葉を「星の王子さまのような感覚」と書いていました。

「もともと絵画的な才能があったところに、この濁りのない感性が宿ったことは、芸術家としての彼にとっては、ある意味プラスだったのではないだろうか、と思う。現在、彼は、草木染めの作家として活躍している。」

ですって。


ごはんを空色にした彼のことを、草木染めの作品も含めてもっと調べてみたいと思いました。

近いうちにまた、書きます。
きょうはこれでおしまいっ。



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なつこ久しぶり!
もゆです。
実はたまにこっそり読んでたんだけど(笑)
この本のドラマを見たことあるな〜って思って
コメントしてしまったぜ。
すごく昔のだから詳しくは全然覚えてないんだけど、
まだ見たときの気持ちが記憶に残ってるんだよね。
すごく良いドラマだったと思うな、確か。

それだけです(^^)また読むわー
体に気をつけてね。
またね〜。
| もゆ | 2012/05/05 4:50 PM |
お返事遅くなってごめんね。
もゆー!!お元気にしてる?(^o^)
この本、ドラマにもなってたんだね。
知らなかった!
でもなんだか印象に残るお話だよね。
わたしも見てみたかったわン。

コメントありがとう◎
また読んでくだせぇ( ´ ▽ ` )ノ
またね〜!
| 夏子 | 2012/05/18 8:23 AM |









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